お互いの予定をうまく合わせることがなかなか出来ず、ようやくあやせとのデートに出られる。意外と学院の業務というのは忙しいらしく、土日が結構な頻度で埋まっていたのと、俺が例の事件の後処理でさんざんこき使われていたというのもあって、まともな休みらしい休みは今日が久々だ。「……何よ」「いや、なんでも無い」 だが、さっきからあやせはずっと不機嫌そうな顔をして俺の横を歩いている。昨日までは久しぶりのデートだってあれだけはしゃいでいたのに、どうして。理由を必死に考えても、まったくもって思いつく気がしない。今日は朝からショッピングモールにいて、そしてこれでだいたい3周目。そろそろ服を買って、撤収しようかなんて事を考える頃合いだったが。「ええと、三司さん?」「突然他人行儀な……何?」「いや、えっと、その……」 不機嫌そうなあやせに何を言ってもムダなことは経験から分かっている。むしろ逆ギレさせてすべてぶち撒けさせたほうが楽になれるのかもしれないが、そんな事をしたら当分口を聞いてくれないことは間違いないだろう。どうにか、必死でこの不機嫌の理由を考える。「……はぁ、暁にそういうつもりが無いと分かっていても、私も子供なのかな」 大きくため息をつくあやせを前に、結局俺はまだその理由を見つけられずにいた。彼女の物憂げな表情もまた美しいが、同時にこんな顔をさせてしまった罪悪感が募る。一体、俺は何をしてしまったというのか。「暁、私とのデートは楽しい?」「そりゃ、もちろん」「そう、それならよかった。さっき行った店で服を買って……あとペットショップ見て行かない?」「分かった、荷物は持つよ」 結局、彼女の不機嫌の理由はわからないまま。とりあえずは彼女に付き従い、予定していたショップを見て、そして帰り際にペットショップに寄る。あれだけ不機嫌そうだった彼女だというのに、猫を見た瞬間表情が同じ人とは思えないほどに崩れ、口からよだれを垂らし始めたのはココだけの秘密だ。「ふぁぁぁ……ネコちゃん……」「……解せぬ」 ボソリと呟いた言葉はあやせに聞こえないで済んだらしい。ひたすら目の前のネコに釘付けになり、もはや懸想しているとでも言えるレベルの入れ込みぶりをみて、なんとなく目の前のネコに羨ましさを感じずには居られなかった。「おい、そろそろ良いか?」「あっ、ちょ