研究テーマ: 非情物主語のニ受動文に関する考察――「非情物ハ/ガ有情物ニV(ラ)レル」構文を中心に指導教員:矢澤真人学修•研究計画:(1)まず、自分の研究方向を踏まえて、関連文献を意図的に選んで読みます。それから、研究課題についての先行研究を把握した上で、その課題を練り直しようと思います。(2)文献の読み方を学び、問題意識を養いたいと思います。それに基づいて、文中の論点と論拠とはどのように組み合わせるのを探求し、弁証的に考察したいと思います。(3)研究目的や範囲に基づいて適切な研究方法を選ぶことは課題研究の基本的な共通認識です。また、一つの課題研究は、いつも異なる研究方法を学際的に使うのが必要だと思います。(4)研究は、言語現象に対する考察を、すべて資料やデータによって完成することは不可能だと思います。母語としての研究者にとっては、主に内省によって自分自身の言語経験と直感を結んで研究を展開してきます。これは非母語者に欠けており、言語環境と実地調査を通じて、母語者に近い語感と日本人らしい考え方を養いたいと思います。学問的関心:現在、私は日本語における受身文についてとても興味があり、そして、日本語の習得過程においていろいろな問題点を持っております。特に非情物を主語とする受身の学習において、母語転移の影響を受けてその誤用がよく見られます。例を挙げると、(1)富士山は太郎に登られた。(*)(2)私の財布は泥棒に盗まれた。(??)(3)ご飯が私に食べられた。(*)(4)A:何が猫に食べられた。(筆者より) B:金魚が猫に食べられた。まずは有情物と非情物の分類基準についてもっと明らかにしたいと思います。その上で、主に「非情物ハ/ガ有情物ニV(ラ)レル」構文を中心に、受身文の特徴及び成立条件を究明したいです。 次に、主語が非情物の受身文における動詞の特徴や機能、及び動作主の性質を明らかにしたいと思います。例えば、例(1)が非文で、動詞の面から見れば、「登る」という行為はその他動性がちょっと低いと思います。動作主「太郎」には意図性がありますが、その行為は対象物「富士山」に変化をもたらしません。最後、人類の認知も受身文の成立に深くかかわると思います。金魚に比べ、猫は食物連鎖の高い階層に位置し、それに低い階層に影響を与える能力があります。例文(4)の正否についてもっと調べる必要があると思いますが、その関連知識をもっと学びたいです。留学目標:留学時期では、現代日本語学という分野の基礎学力を充実し、以降の研究における土台作りをしっかりしておきたいです。先生のご指導の元で、ゼミを受け、日本語の文法論に関する理解を深めながら、研究する分野で面白くて価値のある課題を探していきたいと思います。