[0024] 上記構成の真空容器10を製造する場合、まず、容器本体11に用いる直管状の薄肉金属素管と、補強フィン12を作成する。そして上記金属素管を金型に組込んだ状態で、液圧バルジ加工によって内面側から圧力を加えることにより、第1の成形凸部41を成形する。また、補強フィン12を上記金属素管の所定位置にセットし、液圧バルジ加工によって、フィン固定部30の成形と同時に容器本体11に対する補強フィン12の圧着固定を行う。そののち第2の成形凸部42を成形する。また、容器本体11の端部13を所定形状に成形する。[0025] そして真空炉中で加熱し、硬ろう付けを行うことにより、フィン固定部30において補強フィン12の内周部31のろう付けを行う。補強フィン12は、前述のバルジ加工によって容器本体11のフィン固定部30に全周にわたって均等に密着させられているため、ろう付け作業中の補強フィン12の位置決め精度が高く、真空炉中で1000℃付近まで加熱されても平坦な部分22,23の歪みの発生が回避されるとともに、正確な位置に保持でき、上記部分22,23を円弧状部分20,21と同様に補強フィン12に確実に密接させておくことができる。このため、フィン固定部30の全周にわたり、ろう材を毛細管現象によって十分に回り込ませることができ、必要最少限のろう量で高精度のろう付けを実施できる。[0026] 上記実施例は、補強フィン12によって容器本体11の平坦な部分22,23の形状精度を高く維持することができるため、この真空容器10を上下偏向磁石の間に挿入・組込む際に上記部分22,23の上下方向の寸法精度と平坦度を正確に保つことができる。[0027] そして容器本体11に設けられた補強フィン12やフィン固定部30あるいは第1および第2の成形凸部41,42によって容器本体11の剛性を高めることができるため、容器本体11の肉厚が0.3mm 程度と薄くても、容器本体11の耐真空強度が大である。[0028] また、容器本体11の全周にわたるひだ状の第1の成形凸部41を設けているため、ビームの軌道半径等に応じた曲率で容器本体11を湾曲させたい場合に、容器本体11を比較的容易にかつ異常変形を伴うことなく曲げることができ、曲げの寸法精度も高い。[0029] 本実施例の真空容器10は、上述の補強フィン12によって強度が高められているため、成形凸部41,42の数は従来のベローズタイプのひだ数に比べて少なくてすみ、従って容器本体11の内面の凹凸がベローズタイプのものに比べて少ない。このため、容器本体11の内面の表面積が少なく、ガス放出量もきわめて少ないとともに、ビーム軌道に影響を与えるような凹凸を極力減らすことができる。そして容器本体11の肉厚が薄いため、磁場変化による渦電流の発生を実質的に生じることがなく、ビーム軌道の安定化に役立つ。