ディーアイエルは自身に取り込めきれず、大気中に溢れたリーファの天命を利用して大規模術式を唱えたのだった。この術式は術者の天命を暗黒力に転換し、魔法陣の範囲内にいる者の体内に直接浴びせる高等術式だ。しかし、本来この術式は1人の対象者に対して唱えられることはない。戦争下において少人数で大軍勢を足止めするような場面で使われるものである。しかし、今回ディーアイエルはその術式をリーファ1人を対象にして発動したのである。数千を超える兵を足止めすることができる暗黒魔力がリーファに襲いかかる。その苦痛は計り知れない。当然これだけの術式のため、発動と維持には大量の天命を消費してしまうのだが、リーファから吸収した膨大な天命がそれを可能としている。勿論大気中にある天命が失われれば発動は止まるのだが...