一般に感情形容詞に対応して感情動詞というものが存在する。例えば「悲しい」には「悲しむ」という動詞が、「楽しい」には「楽しむ」という動詞が、そして「恥ずかしい」には「恥じる」あるいは「恥ずかしがる」という動詞が対応する感情形容詞は感情を表現する語であり、「私」の感情を表現できるのは「私」だけである。人は、他人がどのような感情を持っているかを知ることができない。 感情形容詞が感情を表現する語であるのに対し、感情動詞は感情に起因する人の動作・振る舞いを指示する語である。「彼は悲しんでいる」という文は「彼」の振る舞いについて述べたものである。「彼」の振る舞いが「悲しむ」という動詞によって指示されるのが妥当ならば、すなわちその人が現に悲しそうに振る舞っているならば、実際にその人が「悲しい」という感情を持っいるか否かは問題ではない。